PAST FUTURAMA
消えていく20世紀の記憶を拾い、いま生きる形へ変え、次の人へ渡す。
映画、服、アート、書籍、音楽、広告、デザイン、日用品。
過去の文化には、その時代を生きた人たちの生活、美意識、価値観、技術が残っています。
しかし、物は失われ、記憶は薄れ、かつて当たり前だった文化も少しずつ見えなくなっていきます。
私は、それらを懐かしむためではなく、現在からもう一度見つめ直すことで、過去から何を受け取り、次へ何を渡せるのかを考えています。
PAST FUTURAMAは、過去を保存するだけではなく、過去を手がかりに未来を考えるための言葉です。
雨宮崇について

雨宮崇(あめみや たかし)。長野県諏訪出身。
早稲田大学商学部卒業後、渡米し、ニューヨークで現代アートを学び、その後、London College of Fashion(LCF)でファッションデザインを専攻。帰国後は文化服装学院でパターン技術を学ぶ。
現在は、映画を手がかりとした服飾史・世界史・日本史などの研究、ヴィンテージ衣料や文化資料の収集、そして服・セラミック・アクセサリー・ドローイングなどの制作を続けています。
これまでに約1,500本の映画を鑑賞し、約500着のヴィンテージ衣料を収集してきました。
ARCHIVE → RESEARCH → DECONSTRUCT → MAKE → REINTERPRET
活動は、分野ごとに切り離されたものではありません。
映画を見ること。
古い服や資料を集めること。
展覧会や土地を訪れること。
本を読むこと。
実物の構造を調べること。
そして、自分の手で作ること。
まず集め、調べ、構造を読み解く。
そこから必要なものを取り出し、自分なりの解釈を加えて、新しい形へ変換する。
これが、研究と制作に共通する基本的な方法です。
制作について
制作しているのは、服、セラミック、アクセサリー、ドローイングなどです。
素材や技法は異なりますが、身につけること、使うこと、置くことなど、人の生活との関係を持つ物を中心に制作しています。
良い物は、完成した瞬間だけ価値があるのではなく、使われ、時間が刻まれ、次の人へ渡ってもなお価値が残るものだと考えています。
*Orion Radio*という名前の由来
きっかけの一つは、漫画家・諸星大二郎先生の『オリオンラジオの夜』です。
諸星作品に惹かれるのは、絵に現れる独特の世界観だけではありません。文献を渉猟し、その足で土地や伝承を調べ、その膨大なリサーチを作品へ変換していく。その姿勢に強く影響を受けています。
私自身も、映画について語るなら、作品を観ただけで終わらせず、実物資料や文献にできる限りあたり、そこから見えてきた背景まで含めて伝えたいと考えています。
そうした作品と制作への姿勢から、*Orion Radio*という名前の着想を得ました。
*Radio*は、音声だけを意味しているわけではありません。
昔のラジオDJが音楽を選び、その背景や時代まで含めて紹介したように、映画を入口に、服、歴史、音楽、デザイン、社会へと話を広げていく。
文化を選び、編集し、発信する放送局。
そんな意味を重ねています。
そして*Orion*は、現在ではもう一つの意味も持っています。
星は一つひとつではただの点ですが、点と点を結ぶことで星座になります。
私が扱っているのは、
映画、歴史、ファッション、アート、書籍、音楽、旅。
一見すると別々に存在する文化も、背景を調べ、関係を見つけ、線で結ぶことで、一つの時代や文化の姿が見えてきます。
*Orion Radio*は、異なる文化の点と点を結び、その関係から一つの時代や文化を読むという編集姿勢を重ねています。
次の人へ渡す
これまで多くの人、物、作品、文化から、知識や技術、美意識を受け取ってきました。
*Orion Radio*や制作している物が、それを次へつなぐ小さなきっかけになればと考えています。
知らなかったものを一つ知る。
知っていたものを、もう一段深く見る。
その先で、誰かがまた別の文化を発見するきっかけになればと思っています。