-鬼は誰の中にも潜む-
馬場 あき子。東京都出身の歌人、文芸評論家。古典や能に対する造詣が深く、新作能の制作も行っている。また、民俗学 にも深い知識を持つ。
反体制、半秩序が、基本的な鬼の特質であるとし、
1 神道系の鬼
2 山伏系の鬼
3 仏教系の鬼
4 人鬼系の鬼
5 これらから派生する変身譚系の鬼
この5つに鬼を分類して民族的知見から解き明かしていきます。
基本的に鬼は、人間に対して加害者として物語で描かれがちだが、その立場を逆転させ、鬼はむしろ被害者であると鬼に寄り添い話す。一般的に鬼からイメージされる性別は男性とする認識と並行して、女性の鬼の代表である般若を筆頭に全ての人間の胸の内にある鬼について論じていく。
能面の般若についての考察は非常に面白く、般若面は、その時代の不安や心の怯えという破滅型の心情を伝える絶品で、極限に追い詰められた人々の意思を視覚的に表したものと主張します。
2月末ごろから読み始めて5月に入ってようやく読みきれた本。とにかく濃密でまとめきれない本でした。
1回目読了 2021/05/08
それでは、さようなら。気をつけて:)
著者:馬場あき子 文庫:300p 出版:ちくま文庫
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