中世の非人と遊女

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Orion Radio 中世の非人と遊女

-中世における女性と職人の地位の変化-

ポイント

・人との違いは、尊敬も生むが、差別も生む

・中世における自由な女性の立場

・西洋との出会いが日本人の価値観を変えていく

網野 善彦

1928-2004年

日本の歴史学者、専攻は中世日本史

中世・江戸時代における非人と遊女の実態に迫っています。

聖職者の巫女や遊女は、天皇や神仏の直属民としてその特権を保障され、自由な旅を通し多くの人生経験を身につけ豊かに暮らしていたそうです。非人という職人などの特定職能民は、その高度な技術よって庶民から尊敬されていました。同時にその特権と神業が一般人との間に境界を作り出してしまいます。

そして、その後の社会変革による価値観の転換によって、遊女・非人と庶民との境界は差別という形に変わっていったと本書では述べています。

当時の日本人の倫理観について言及し、宣教師のフロイスを引用しながら、キリスト教の倫理観と比較していきます。とくに衝撃的だったのは、女性による間引きのお話。現代では考えられない価値観がそこにはあったようです。戦や疫病などによる大量の死が身近にあり、そんな過酷な環境への心の対応だったと説明しています。

同じ日本人だとしても生まれた時代によっては文化も価値観も全く違うことが本書から学べました。表紙の遊女の服装も素晴らしく、本書に出てくる女性たちのイメージをいっそう逞しいものにしています。ロザリオに帯刀、アクセサリーのような瓢箪、そして扇子をつまむ遊女。スタイリングがとってもかっこいいです。

1回目読了2021/05/13

ご拝読ありがとうございましたそれでは、さようなら。気をつけて:)

著者: 網野善彦 文庫: 290p 出版社: 講談社学術文庫

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