-自分の時間を意識していい気分で生きる-
ポイント
・生は浪費すれば短いが、活用すれば十分に長い
・今を意識的に生きる
ルキウス・アンナエウス・セネカ(紀元前1 年頃 – 65年)。ローマ帝国の政治家、哲学者、詩人。
多くの死が身近にあったローマ帝国時代、セネカがどうやって死に向かって生きるかを説いています。
生は浪費すれば短いが、活用すれば十分に長く、そのためには、心の平静を保つことが大切。心の平静を保つには、快楽ではなく徳こそが必要。徳は自己を通して周りを正しく見つめ直すことによって生まれる。過度に自分に期待をせず可能なことを求めようといっています。
今という時間を意識し、思考し、自発性を発揮することによってのみ現在という時間は存在する。もしこの意識のあり方がないならば、時間は存在せず浪費されることになる。不確実な未来において約束をすることは、今を蔑ろにしていることに他ならず、この未来への先延ばしこそが生の最大の浪費。今を生きるということを強く主張します。
また学問研究においては、出費の対象にふさわしい少数の著作家の作品に身を委ねるのがよく、当てもなく学ぶことは不毛であると警鐘を鳴らす。
3章の幸福な人生については、他人と自分を比べることこそが諸悪の根源で、他人の長所と自分の短所を比べ苦しむ人が多く、それは本人にとって全くの不利益と主張している。人生を嘆き悲しむのではなく、笑って過ごす方が人間的にも希望があるといいます。
論語と多くの共通性を持つため、日本ではあまり光が当たらなかったセネカ。読み進めていくにつれ、時間の大切さに気づかされながら、精神が癒されていく本でした。
1回目読了 2021/03/13
ご拝読ありがとうございました。それでは、さようなら。気をつけて:)
著者: ルキウスアンナエウスセネカ 翻訳: 大西英文 文庫: 316p 出版: 岩波文庫
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