-人間であることを楽しもう-
ポイント
・暇と退屈について考えてみよう
・消費ではなく浪費によって豊かさは生まれる
・豊かさを味わうには訓練が必要
國分功一郎
1974-
哲学者
著者は哲学から倫理学、考古学、歴史学、人類学、経済学、政治学、社会学、心理学、精神分析学、文学、さらには生物学や医学などおおよそ全ての学問から暇と退屈という問題に立ち向かいます。
人はパンを食べて生きているが、それをそもそもちゃんと味わっているのだろうか。パンを楽しむと同時にバラも求めようと著者はいいます。一貫して人生はバラで飾られていないといけないと主張しています。ここでバラは、人生を彩る浪費の比喩として使われてるようです。
浪費とは贅沢することであって、浪費は本来必要以上のものを受け取ることを意味します。浪費こそが豊かさの条件であるとし、現代ではこの浪費が妨げられていると主張しています。現代の人間は何を買うべきか、何をすべきか強制された消費者であるとし、浪費家になることを勧めています。
浪費家になることによって人間は、人生は楽しむことを学びはじめます。思考をすることによって、豊かさに気付き、またそれを感じれるようになります。そしてそういった浪費のできる人間であることを楽しもうといいます。
人間が余暇を意識的に楽しめるようになると生活が変わるので、おのずとまわりの人間関係も変わっていきます。これは社会の産業構造の変化にもつながっていき、最終的に大きな社会改革につながり、強制された消費社会から人間は脱却していくと主張しています。
本書は古典の哲学書とは違い平易きで読みやすいです。パスカルやニーチェ、ハイデガーなど著名な哲学者やヴェブレンガルブレイスなどの経済学者の名前も登場します。浪費の実践として暇と退屈なときにすらスラスラ読める入門哲学書です。
ご拝読ありがとうございました。それでは、さようなら。気をつけて:)
著者: 國分功一郎 文庫: 440p 出版: 太田出版
1回目読了 2017/7/30
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