-アラブに生まれた芸術家の図録-
Wael Shawky ワエル・シャウキー1971-。エジプトの映画監督、アーティスト
2013年、イギリスロンドンのサーペンタインギャラリーで行われたシャウキー氏の図録です。ドローウィングも豊富で、彼の出身国であるエジプトについての短いお話が三つ綴られています。
ギャラリーの展示では映像作品である「十字軍芝居」も上映され、使用されていた操り人形とシャウキー氏の絵もありました。歴史物語を新たな観点から提示し、「十字軍芝居」は世界的な議論を巻き起こしました。ヨーロッパの立場ではなく、アラブ視点での聖地奪回を描いています。アラビア語や民族音楽が効果的に使われていて魅力的な作品となっています。
映像作品に出てくる人形は、ヴェネチアンガラスや陶器、革が使われ奇怪的な形ですが、様々なテキスタイルによって魅力的に仕上がっています。「人形の方が観客は純粋に物語を受け入れ、自己を投影することができる」とシャウキー氏は言っています。物語終盤ではイスラム教とキリスト教の境界が曖昧になっていく一方で、その出演する人形のワイヤーがまるで権力者に操られているかのように目立ってきます。
アラブや人形劇、映画に興味ある方はyoutubeでwael shawky と検索してみてください。何個かショートムービーが出てきます。DVD化されて手元におく日が待ち遠しい作品です。日本でアラブ映画は出回らないため貴重な資料ですね。
ご拝読ありがとうございました。それでは、さようなら。気をつけて:)
著者: wael shawky ワエル・シャウキーハードバック: 138p 出版: sharjah art foundation serpentine galleries and koenig books
1回目読了 2013/7/30
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