-自殺の防止策-
ポイント
・自殺は科学的、客観的に分析すべき
・自己本位が自殺の発生原因
エミール・デュルケーム。1858-1917。社会学者
アルコール中毒、精神病も原因の一つかもしれないが、実はコミュニケーション頻度が低い人ほど自殺しやすいとデュルケームはいっています。自殺は内面的な問題として考えられていたが、彼は社会的現象として定量的に分析しました。
デュルケームは、カトリックとプロテスタントに着目します。両者を比較した場合、プロテスタントの方が自殺率が高く、この違いの原因は、カトリックのミサにあるとしました。カトリックは定期的にミサを行い、他者との関わりを多く持つことができるようになっています。つまり、同じキリスト教であっても、宗教そのものが自殺の抑止になっているわけではなく、その共同体内でのコミュニケーションの頻度が高いと自殺が減少すると考察しています。
そして自殺は社会的現象の一つであるとし、自殺を以下の4つに分類
1 集団本位的自殺 集団の価値体系に服従することによる自殺
2 自己本位的自殺 他人とのコミュニケーション不足による状態での自殺
3 アノミー的自殺 すでに満たされて目的意識を失うことにる自殺
4 宿命的自殺 満たされないことによる自殺
結論的には、職業や婚姻関係などの結びつきによるコミュニケーションの頻度を高めることによって、自殺を減らすことができると述べています。100年前に書かれたとはいえ、現代にも当てはまることが多い本でした。さすがの古典。本アカウントでも徐々に本好きの皆さんと交流が持ててきて嬉しく思います。コミュニケーションは生きていく上で重要ですね。
1回目読了 2021/06/21
ご拝読ありがとうございました。それでは、さようなら。気をつけて:)
著者: エミールデュルケーム 翻訳: 宮島喬 文庫: 707p 出版: 中央公論新社
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