数学者たちの楽園 ザシンプソンズ を作った天才たち

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-笑うか?悩むか?-

ポイント

・ナードやギークは今や褒め言葉

・数学は脚本を書くことと似ている

・Fuch’ me (わからないならほっとけ)

サイモン・シン。964-。プロデューサー、ジャーナリスト、サイエンスライター、大英帝国勲章、MBE。

米国史上最長寿アニメの「ザ・シンプソンズ」についての真面目な分析本のご紹介です。シンプソンズは1989年より放送している、アニメーションシリーズで長きにわたる放送の中で数々の賞に輝き、世界70か国以上で放送されています。

吹替版を小さい頃にケーブルテレビで初めて見てからずっと大好きなアニメです。あのなんともいえない皮肉めいた奇想天外なエピソードが面白くて、その後「ファミリーガイ」や「 サウスパーク」に出会うもののやっぱりシンプソンズは抜けてるなぁと思っていました。

そんなシンプソンズファンの私は本書読了後、悔しさが込み上げてきました。全くシンプソンズを分かってなかったと。実はシンプソンズの脚本家たちはハーバード大卒の博士たち。数学科出身が多く、劇中に有名な数式や数学ウンチクをさりげなーく忍び込ませているらしいのです。しかも彼らは一般人には理解して欲しいとは思っていないらしく、わかるやつにわかればいい!というスタンスで制作しているとか。昔の貴族の遊びの現代版って感じです。実際に数学マニアたちはチラリと映る数式を見逃さず、彼らに意見を送っているそうです。

昔の貴族は宗教画や自画像を芸術家に描かせ、そこに意味あるモチーフを忍び込ませていました。そのモチーフの意味がわかる人間を自分達の仲間だと認め合うことで階級社会での繋がりを強めていました。いわゆる、イコノロジーの研究領域です。

本書では隠された数式について丁寧にその種明かしをしていきます。数式だけではなく、例えば、シンプソンズの登場人物はなぜ指が4本なのか?これはアニメーション作りに大きな影響を与えたディズニーによるもの。ディズニーは初期のアニメ作りにおいて「指を5本書くのはアニメーターの負担になるから指を減らし効率化を図った」そしてこの伝統がシンプソンズにも受け継がれている。など笑えるライトな解説もあります。

数学的素養がない一般視聴者にも、数学が大好きな玄人の方にも受け入れられているシンプソンズはすごいですね。絵画や芸術、そしてアニメの裏側に潜むエピソードや作者の真意、社会的な環境がわかってくると作品が輝いてきます。日本では怖い本 で有名な中野京子さんが有名絵画の解説をされ展覧会は大人気でした。本書はそんな種明かしがお好きな方、数学が好きな方、もちろんシンプソンズファンにもおすすめです。

著者: サイモンシン 翻訳: 青木薫 出版: 新潮社 単行本: 421p

1回目読了 2020/01/05

ご拝読ありがとうございました。それでは、さようなら。気をつけて:)

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