-クリエイター必見の書-
ポイント
・3世代前のプロダクトを研究せよ
・美術史・技術史・思想史を研究せよ
・デザインの練習を毎日10分せよ
エンツォ・マーリ
1932-2020
イタリアのアーティスト、家具デザイナー
イタリアのプロダクトデザイナーの巨匠マーリ先生の著書です。現代の大量生産・大量消費という商品文化に真っ向から異論を唱えます。いいもの作りは自ら畑を耕し種をまき収穫する農民のあり方と似た、かたちの本質を形作る可能性があり、ものの価値は当然高くなるが、長持ちして、修理が可能なので再利用すら可能となる。そして使い捨て文化もなくなっていくと。
買い手・作り手・企業家それぞれの立場からも、もの作りについて述べています。この互いの欲望がぶつかり合い矛盾さえする状況を深く分析し、マーリ氏なりの答えを提示してくれます。特に作り手に寄り添って応援してくれる文章がいくつもあります。もの作りのプロセスにおける決断力、不安を超える能力、絶え間ない研究をする肉体的強さを作り手には必要だと述べています。
2011年に購入してからもう何度も読み返しています。デザイナーとしてものづくりに本気で取り掛かると、やはり美術史、技術史、そして思想史の勉強は避けてとおれないと強く思います。その勉強のアウトプットの場としてこのアカウントを作りました。物作りに携わる方には非常におすすめの一冊です。古書で高額で取引されている理由もわかります。
「何かしらの尊厳を持って全てと向き合うには四、五年のカリキュラムではこと足りない。限られた時間の中で、情熱を注ぎ込むべき体験は何なのかを突き止め、その関連性を認識することが重要になる。ほかのものは放棄する。こうして獲得された知と経験の断片は、その数年をかけて、血肉となるだろう。」
著者: エンツォマーリ
翻訳: 田代かおる
出版: みすず書房
単行本: 231p
1回目読了 2010/7/26
2回目読了 2017/03/15
3回目読了 2021/02/16
ご拝読ありがとうございました。それでは、さようなら。気をつけて:)
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