ポイント
・死後の世界も大変
・フロイト、ユングに影響を与えた経典
・臨死体験をしたヒッピーたちの聖典
死後の世界はどうなっているのか、私たちはどうなるのか、という問いに対する一つのロードマップがこの死者の書です。死者に対して解脱の方向を指示する経典であり、日本でいうところの #まくら経 を唱えながら、死後四十九日間にわたる儀礼とその意味について解説しています。
チベット仏教の古派密教には テルマ(埋蔵経)と呼ばれる文献が多くあり、この死者の書もその一つでした。スタンフォードやオックスフォードで神智学を学んだアメリカ人のエヴァンス氏が密教僧から原典を紹介されたことにより英訳されました。
英訳されたのちドイツ語訳された死者の書は、 長文を寄稿するほど心理学者のユングに影響を与えました。また、同時期の精神分析の父・フロイトのエディプス・コンプレックス と類似する文章が死者の書にはあり、心理学や精神分析学に大きな影響を与えていたことがわかります。
その後、アメリカのヒッピーの間で死者の書が爆発的なブームとなります。LSDによる臨死体験と死者の書が描いている死後の世界が類似したためとも言われています。
一つの宗教のある一つの経典が、現代における心理学・精神分析学とつながるとは思わず、楽しい知のトリップ経験しました。チベット関連ではブラットピット主演の「セブンイヤーズ・イン・チベット」やNHKによる死者の書のドキュメンタリーもあるので興味のある方におすすめします。
1回目読了 2016/01/13
ご拝読ありがとうございました。それでは、さようなら。気をつけて:)
著者: 翻訳: 川崎信定 出版: ちくま学芸文庫 文庫: 243p
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