-他人の食事を見るために、あなたはわざわざレストランに入りますか?-
ポイント
・批判するなら、提案とセットで
・自分の人生に自分で参加しよう
ムアンマル・アル=カッザーフィー
リビアの軍人、 革命家、 政治家
中東の狂犬とも呼ばれ、日本ではカダフィ大佐という呼称で知られているムアンマル・アル=カッザーフィーの自著です。 毛沢東の小さな赤の書(毛沢東語録 )や第三世界理論を参考に持論を述べていきます。
カダフィ大佐は資本主義や共産主義に変わり、第三の普遍理論を提唱しています。近代の自由民主主義はペテンであり、国民自身が統治機構の主体となれば、民主主義における問題は完全に解決されると理想を述べています。ただの理想論ではなく、中東の生活や文化の観点から丁寧に具体例を上げながらその論旨を補強していきます。後半に進むにつれ、抽象度は下がっていき、終盤では個人の生活態度のあり方について述べています。後半部分だけでも一読の価値はあると思います。
特に、スポーツやショウ、演劇についての論考は、うなずける点が多く、自らが主体になって参加できないものは馬鹿げていると言います。これには中東における遊牧民の生活の厳しさによる観点で、真剣に生きている人間にとって他人が演技しているものを見ることほど無意味なことはないと強く主張します。あなたは、他人が食事をするのを眺めるためにわざわざレストランに入るのか?と諭し、自らが主体性を持って物事に参加することの重要性を語っています。
強面な容姿とは裏腹に本書の論調はやさしくすらすら読めます。そして革命家ゆえの説得力によって、本書を読み終える頃には自分の人生に対して主導権を握る勇気がわく本です。
1回目読了 2021/02/16
ご拝読ありがとうございました。それでは、さようなら。気をつけて:)
著者: ムアンマルアルカッザーフィ 翻訳: 藤田進 出版: 電子本ピコ第三書館販売 文庫: 117p
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