ちぐはぐな身体 ファッションって何?

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-制服を着崩すところからファッションは始まる-

ポイント

・あらゆる基準からはずれることがファッションとなる

鷲田清一、1949-  、大学教授、哲学者。

衣服や靴は身体に合わせて作るのではなく、身体をそれらに合わせること、これこそが服飾と定義し、ファションの原型は学生服を崩して着ることに始まるという。

既定の何かを外すこと、ズラすこと、崩すこと。

あらゆる標準的な規範から外れる感覚。

社会からの距離感覚。

自分自身との距離感覚。

ある枠組みから外れようとする時、個性が生まれ、ファッションが生まれる。

確固たる自分が無ければ着崩すこともできない。これは千利休の「利休道歌」の守破離とも読めました。社会常識をまず守り、そこから自分の感性との違い意識し始めて既存の型を破る、さらに自分の型を作り上げた個人は、元の型に囚われることなく、離れ自由となる。こうして、新たな流派・ファッションが生まれる。

そもそも人間とは不均衡なもの。もともと等身大のファッションというものは存在せず、常に背伸びをするか、萎縮するかしてサイズがずれてしまうのが人間であって、これがファッションになったりするから面白い。奇抜な格好をするしている人間は心の叫びを表現し、心の中では泣いているのかもしれない。

また体の変化による精神的なファッションへの寛容性にも言及しています。女性の体の変化に比べ、男性の体の変化は平坦で抽象的、大きな体のうねりを経験していない。この変化における精神的な経験の欠如が、男性の精神を崩壊させかねない。街中でもよく見られるように男性の服を女性は着ても平気なのに、その逆はあまりなく、珍しい。

10年前に読了していた本を再読してみました。本書に出会ったのは、ファッションデザイナーを目指すべく、何をすべきか色々と悩みながら情報を集めていた時期でした。服を作るようになってからも学びを引き出せる本です。

本書で紹介されている「都市とモードのビデオノート」という映画も今後紹介します。

デザイナーは、哲学者であり、ジャーナリストであり、ビジネスマンであり、そしてジゴロである、と必要な性質を挙げてました。

著者: 鷲田清一 出版: ちくま文庫 文庫:185p

1回目読了  2011/11/05

2回目読了 2021/03/13

ご拝読ありがとうございました。それでは、さようなら。気をつけて:)

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